気になったギア:勝負カラビナ 2018

カラビナはクライミングをするうえで欠かせないギアですが、道具全体の中で最も消耗しにくいギアのひとつです。(ただし、それは正しく使っている場合に限ります)

人の道具を借りる際にも気軽に貸し借りしてくれます。
(例えば既にヌンチャクをセットされたスポートルートを複数人でセッション)

しかし、ボルダーマット同様にクイックドローを全く持たずにエリアでセッションしようとするのはご法度。白い目で見られることは間違いないです。

必ず必要な道具であり、安全に関わることからロープクライミングの道具は全てデリケートですが、カラビナに関してはボルダーマットと似たポジションですね。

ただ、カラビナにも用いる人、ロープ経などでクリッピング動作のスムーズさに相性があります。


絶対に1回でクリップしないといけない核心セクション。そこにガビガビでゲート開閉が硬いビナがあったらどうでしょう!?


精神的に問題ないセクションのクリップではどんなビナであろうと気になりませんが、勝負どころ、あるいは勝負トライではカラビナが自分に合っているものかどうかはRPの明暗を分けることになります。

自分の勝負ビナ。そんなことも気になるので、今回は各社のカラビナをみてみましょう。

ブラックダイアモンド Black Diamond

ライブワイヤー

アダム・オンドラが使っているBDの最高峰。
軽量で小さいながらも くの字 に曲がったボディがクリップのしやすさを高めている間違いないカラビナ。

特に握るタイプのクリッピングをする人たちは効果的です。

ワイヤーゲートなので好みが分かれるかも?

ゲート幅:24mm
重量:44g

価格:1620円/枚

ポジトロン

カラーリングが一新したポジトロンですが、基本的な部分では変更なし。
一般的なD型ビナですが、やや大きく、ボディ含む全体が太め。

手の小さい女性では握りにくいので握ってクリップする人たちとは相性悪い?

重いのも気になりますが、クリップし損ねるとブンブンして捉えるのも神経使う印象。

ゲート幅:26mm
重量:49g

価格:1188円/枚


カンプ/カシン Camp Cassin

ディオン

新しいコンセプトのワイヤーゲートビナ。”ワイヤーゲートはキーロック構造にならない”という概念を覆して、キーロック構造を再現しています。

強度の問題(ゲート部)もクリアして登場。

ボディも緩やかにアールを描いて掴みやすい、持ちやすい構造と大きさ。
大きな手の人には若干小さいか?それでも特徴的なワイヤーゲートがクリップのしやすさを高めているので問題に感じないかも。

コスパが高いのであまり費用をかけれない人にとっては勝負ビナ。そうじゃなくてもストレスフリーのクリップでクライミングの動きやリズムを崩さない。なにより軽い!

ゲート幅:26mm
重量:33g

価格:1600円/枚

フォトン

カンプの一般的なカラビナ。ワイヤーとベント/ストレートあります。
一般的な形状にみえてなぜか クリップしやすい ということでコスパが高い印象。

安いのに勝負ビナとしても活躍してくれます。ワイヤー、ベントともに適度なバネの硬さだけど、ベント(ストレート)のほうが少し柔らかい印象。ワイヤーゲートも若干アールがついてベントっぽくしあげてあるのでクリップしやすさを高めてます。

ただ、クリップの失敗をさけるためにも初心者はダイニーマスリングでのドロー作成はオススメしない。しかし、とにかく軽い。軽いは正義!

ベント
ゲート幅:25mm
重量:35g

価格:1300円/枚

ワイヤー
ゲート幅:26mm
重量:30g

価格:1100円/枚

DMM

アルファ・クリップ

でた。

クリッピングのしやすさならDMMじゃないかっていうくらい勝負ビナとして有名。
特にオーバーハング、ルーフなど被った壁でこそこのクリップのしやすさの本領発揮。

くの字 のボディと鋭角なノーズ。独特な形のベントゲート。

ベントゲートの形状はロープを乗せるような形になっているのでクリップの確実性を向上させてます。その分なんらかの形でロープが乗って外れてしまうリスクもあるのでは?と議論がありましたが、公式ではそうならないようにしている。ということ。

ボディの凹凸がまた握りやすさを高めているのでカラビナが滑ることを防いでくれます。

勝負ビナとして申し分ないビナのひとつ。
唯一悪い点としては、重いこと。なかなかの重さがあります。でもクリッピングのしやすさと天秤に掛けたら・・・。あと、価格が高い。

ゲート幅:25mm
重量:45g

価格:2700円/枚

グリベル Grivel

シグマ

グリベルは昔から変わった形のドローが多い斜め上の発想。
ツインゲートカラビナは安全性が高い特殊な形。

手前のワイヤーゲートを引いてロープを入れたらあとは流れでクリップできます。

逆クリップしても外れない。勝負ビナというよりも絶対に外れてほしくない場所で使うって感じですね。

ロープ側にもいいけど、ハンガー側に使うのもいいです。1本持っておくといざというときに便利。

ただ、このビナがロープ側についていて、知らない人とセッションはかなり抵抗あり。使い慣れていない人は嫌な顔するかも?いろんな人がいるので仲良くセッションするならそういう抵抗はなくなるかもですが、人とセッションするなら避けるが吉かな

ゲート幅:23mm
重量:57g

価格:1800円/枚


ちなみに全長が1センチ小さい ブルーム もある。ツインワイヤーだね。

価格:1800円


エーデルリッド Edelrid

バレットプルーフ

防弾仕様って名前ですが、アルミのビナにステンレスを張り付けて接触摩耗する部分を高強度にしたもの。

エーデルリッドも新しい発想で注目させてくれますね。

こちらはクリップのスムーズさよりも、摩耗の激しい場所に用いる目的。例えば・・・

核心でフォールを繰り返すような場所
ハンガー側(ストレート)
1ピン目

ロープの滑りが滑らかで、ハングドック(登り返し)がとても楽。
DMMのリボルバーほどではないけれど、それに次ぐ核心部でオススメのビナ。ロープにやさしいのだ。

摩耗にも強いので通常よりも長く使えるのもありがたい。

唯一の弱点は クリップしにくい という印象。
ゲートのバネもそれなりに強いし、ゲート開閉が狭い印象。慣れれば問題なく感じるかもしれないけれど、クリップを急ぐ場所にはあまり使いたくないなーって思った。でも、そういう場所こそ核心だったりするんだけど・・・。

クイックドローで2本あると便利。鋭角なハンガーでグリグリして削れるのも耐えてくれるのでデメリットもあるけど利点もかなり高い。今後の調整に期待大

ゲート幅:20mm
重量:55g

価格:2100円/枚

ペツル Petzl

スピリット

勝負ビナの代表格の一つとして使用している人も多い定番ビナ。

一般的なD型形状にみえるのに、なぜかとてもクリップしやすい。
一度使ったらそのクリップのしやすさで虜になるビナです。

ゲート部分が通常は丸い筒状のものが一般的ですが、スピリットはロープとの接触面が平面になっています。これがクリップしやすさのポイントなのかな?

ゲートのバネの最高の硬さじゃない?と思うほどいい具合。
軽量であることもすばらしく完璧なフォルムを有しているといっても過言ではないですね。

ゲート幅:25mm
重量:39g

価格:1350円/枚

ジン

ペツルのエントリーモデルのジン。とりあえずペツルで数を揃えたい人はこれを選ぶんじゃないかな。

昔よりも大きくなって若干使いやすくなりました。
くの字 のボディ形状は掴んでクリップするタイプの人にはやりやすいかも?

ペツル内で比較した際、スピリットが良すぎてジンの評価は下がってしまうんだけど、クリップのしやすさは比じゃないほどスピリットに軍配。

でも、安い割にはジンは使いやすい方だと思う。個人的には好みではないけれど、友人は好きだったりするので、手の大きさやもってなじむ感じに違いがあるのでしょう。手の大きい人には小ぶりに感じてしまうかな。

ゲート幅:27mm
重量:45g

価格:1000円/枚

ワイルドカントリー Wildcountry

プロトン

ワイルドカントリーを使っている人は ヘリウム が多い印象ですが、プロトン もいいです。DMMと似たベントゲートをしていますが、やっぱりDMMの方が使いやすいっていう不思議な現象。

DMMと比較してクリップ時に若干滑る?と感じることがあります。
ボディ全体が小さいのか、ボディの形状の違いか。形をみるとポテンシャルを感じる形状なんですが、スリングとの相性もあるかもしれません。

ゲートバネはDMMより若干軟らかく感じる。

初めて買う際、ヘリウムとどっちがいいかと聞かれれば、間違いなくプロトンの方を勧めますが、ヘリウムの方が軽い利点はある。

ヘリウムはダイニーマスリングということもフリーでは使いにくい。軽さ重視ならヘリウムの一択ですが。

ゲート幅:25mm
重量:48g

価格:1850円/枚

マムート Mammut

 

バイオニック

何気に発売年によって形状が違うバイオニックはマイナーチェンジを繰り返しているので、製造年の形状によって使い勝手が全然違う

バイオニックは独特な形状からクリップのしやすさと軽さを追究。その甲斐あってか核心でストレスフリーなクリップを再現してくれます。

勝負ビナのほとんどのドローは太いナイロンスリングで構成されていることが多いのに、マムートはダイニーマで軽さを重視しています。クリッピングのしやすさに自信があるのかも?と想像しますが、ホントにクリップしやすい。ビナも軽いのでクリップ時に捻じれやすいかと思いきやそんなこともないし。

個人的にはベントゲートよりもワイヤーをオススメ。ベントゲートは比較的柔らかいバネですが、ワイヤーはベントよりも強く感じる。それでも、クリッピングのしやすさは両方同じなのでワイヤーは比較的クリップしにくい。というイメージを払拭させてくれる。

注意点はマイナーチェンジしているので、人のものを触って好感でも実際のモデルが違ったりすること。

ゲート幅:不明
重量:38g

価格:1620円/枚

クレッグ

ミドルモデルのクレッグも数年前から発売されてます。インジケータースリングと組み合わせられて発売されてますね。多くのビナが くの字 のボディで挟みやすい形をしているなかで、これは卵型のボディ。

他のビナと重ねてみるとそれほど大きくないのに、持ってみるととても大きく感じる。これ、HMS?と一瞬思っちゃったよ。

卵型なので持ちやすいのが一番のメリットで中指を入れるタイプじゃなければすべてのクリップモーションでスムーズに感じる。

コスパが高いと使い始めた時にすぐさま感じた。

ゲート幅:不明
重量:43g

価格:1188円/枚

オーストリアルピン Austrialpin

マイクロ

オーストリアルピンのカラビナは古くからあって、最近では見かけないんですが、昔からクライミングをやっている人が時々年季の入ったオーストリアルピンのビナを見かけます。

マイクロは名前の通り小口で軽量ビナ。ほとんどはトラッドクライマーやアイスクライミング、マルチピッチなどで用いられるんじゃないかと。

可もなく、不可もなく。っていうビナ。
クリップしやすいかというと、まぁまぁ。形と大きさがあまりなじまないので玄人向けな感じ?そんなに軽いわけでもないしなぁ・・・

ゲート幅:20mm
重量:35g

価格:1100円/枚


まとめ

なんとなく思い立って勝負ビナをまとめてみました。

初心者の人にオススメしやすいように一部はエントリーモデル、ミドルモデルにも言及しています。

全体を見通して、意外と重量があるなーと思ったビナもありますが、自分の手の大きさと相談して合ったビナを選ぶとよいです。

買ってみてダメだったなーと思うビナは捨てビナとかハンガー側として再利用するのもいいです。

使っていくうちにだんだんなじんでくるんで、最高のビナになるとノールック&ノータイムでクリップできたりするんでOSやプレッシャーのかかったトライになると意外と重要。

スリングとの相性もあるので、そこらへんも試行錯誤しておきましょう。


個人的に言えば、総合的に バイオニック・ワイヤー(ベントはいまいち) が最もオススメで、次点で カンプ・ディオン。一番の理由は 軽さ ですね。

お金を気にしないで選べと言われたら、 DMM・アルファ で、次点で ペツル・スピリット ですね。

クリップ性能でみると・・・スリングとの相性もあるんですが

DMM・アルファ > ペツル・スピリット = バイオニック・ワイヤー = BD・ライブワイヤー って印象ですね。個人的な意見です。はい。


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